読み終わる頃には、前がぼやけて見えないほどに涙が溢れてきた。 「…こんなの…捨てられる訳ないじゃん…」 忘れられる訳ない。 私にとっても、相賀くんは初めて好きになった人だから。 …でも…相賀くんも嘘下手だね。 忘れてもいいからって書いてあるのに、手紙には涙がこぼれ落ちて乾いた跡がある。 「忘れないよ…忘れたくないの…」 この手紙は、今日の朝…知らない女性に渡された。 誰ですか?と尋ねると、女性はこう答えた。 「愛斗の母です」 私はそのあと、相賀くんのお母さんに話を聞いた。