キミは僕に好きとは言わない



なにさ。みんなして桃矢のことバカにして。

桃矢は身長だけが取り柄なわけじゃない。


いつもはヘタレ全開だけど、本当はすごく男らしくて、困ってる人はほっとけない究極のお人好で。

誰よりも頼りになる、わたしの大好きな人だ。


「……罰ゲームじゃないもん。桃矢は普段からかっこいいし」

「杉浦のこと、誰よりも地味男扱いしてたのってなずなじゃん。好きな人はかっこよく見えるってマジなんだね〜」

「うっ……」


ぽつりと呟いたはずの言葉を皐月に拾われて、やれやれと呆れ笑いをされた。


たしかに桃矢を好きになる前のわたしは、なんでこんな地味男が幼なじみなんだろうと嘆くこともあった。

どうせなら王子様みたいな人がよかったのに、ってね。


でも、今はそんなことを全く思っていない。


蓮先輩みたいな王子様系がタイプだったのに、今じゃ桃矢の方がかっこよく見える。


頭では地味男だとわかっているんだけど、無性にドキッとしちゃうから、恋って魔法みたいだね。

一瞬にしてフィルターがかかっちゃうんだもん。


王子様衣装だって絶対似合うよ。幼なじみのわたしが言うんだから間違いない。


ステージに風船を貼り付けながら、無言で頷いた。