キミは僕に好きとは言わない



「いいじゃんそれ。面白そー」

「杉浦よろしく!」

「え………いや……僕は……」


乗り気でない桃矢はそっちのけで、クラスのみんなは盛り上がっている。

嫌がってるんだからやめなよ。と、言える雰囲気ではなかった。


「じゃあ杉浦!隣の控え室でさっそく着替えよっか」

「あ、っ、あ………なずなちゃ……」


控え室に無理矢理連れて行かれる桃矢は、助けを求めるようにわたしを見ていた。

けれどわたしは何も言えずに俯く。

桃矢、ごめん……!


「ぎゃはは、杉浦が王子様だってよー」

「なんか軽く罰ゲームじゃね?」

「杉浦は身長くらいしか取り柄ないんだから、こういう時に体張ればいいんだよ」


桃矢がいなくなった途端、クラスメイトの男子が一斉に笑い出している。


「ふふっ、ある意味楽しみだなぁ。杉浦の王子姿」


もちろん笑っていたのは男子だけじゃなくて。


「笑い堪えられるかなー」

「我慢大会みたいだね」


女子も同様にクスクスと笑っていた。