キミは僕に好きとは言わない



その言い方ってちょっと冷たくない?

桃矢だってわたしがナズナのヘアピンを気に入ってたの知ってるくせに、なんて軽いやつなんだ。

それに同じものなんてもうどこにも売ってないよ。


だってあのヘアピンは小さい頃桃矢に貰ったものだから。

代わりなんて他にないの。

たとえ全く見た目が同じでも、それはわたしが大切にしていたヘアピンとは違うんだ。


「あぁ、なずなちゃんは金欠だから買えないんですね!ヘアピンくらい僕が買ってあげますよ〜」


このヘタレ男……ほんとムカつく。

いくらわたしが万年金欠女だからってヘアピンを買えないほど貧乏だと思ってるわけ?


「新しいヘアピンなんていらない。もうっ………わたし探してくるから桃矢は先に帰っていいよ」

「今からですか!?なら僕もーーーーーー」

「気が散るからだめ」


ヘアピンくらい1人で探せるし、桃矢まで一緒だと余計な心配が増えるだけだもん。


それに………わたしに付き合わせてこれ以上帰りが遅くなるのは悪いしね。


「じゃあ先生、桃矢、お疲れ様でした!」


「おぉ、お疲れ」

「なずなちゃ………」


うだうだと桃矢に泣かれる前に図書室を飛び出していった。