それから少し喜一と会話をしてから
2人で店を出る。
「すいません…お茶代まで出して頂いて…。」
「こっちが付き合わせたんだから。
椿ちゃんは気にしないでよ。」
買い物の途中なのに
連れ出したりしてごめんね。
喜一は笑顔で椿にそう告げる。
そして頭を優しく撫でてから
椿に向かって手を振った。
「元気出してね。
じゃあ、お買い物頑張って。」
そう言って歩き去って行く彼に
椿は一礼して
彼女もまた歩き出した。
…先ほどまでの
苦しい不安は少し和らぎ
椿はきちんと買い物を回ることができた。
お茶の葉と食材を買い、
念のため治療道具も少し購入した。
(…喜一さんに会えてよかった。)
人の言葉がこんなに安心できるものなのかと実感した椿は
心の中でそんなことを思いながら
喜一に感謝を思う。
(さっきもらった髪留めは
記念に…棚にしまって置こう。)
そう考えながら
椿はゆっくりと帰路を歩いて行った。

