怖くなるけど、もうそこまで来たら止めることもできなくて。

壊れそうな心臓のまま続ける。


「でもそれって誰に言われてもそうなのかもしれないって思って」
「そ、そうですよきっと」
「でも違ったんです斎藤さんだけだったんです。クラスの男子で検証済みです」
「クラスの男子に可愛いって言われたんですか、それはきっとチャラ男ですよロクな男じゃな」
「私が無理矢理言わせたんです」
「oh……」


斎藤さんが頭を抱えた。


「焦りました?」
「はい、いえ、いえ!……はい、いえ」
「どっちなんですか」


それきり斎藤さんは黙り込んでしまった。


なんだか斎藤さんが、分からなくなる。

いつも妙なほどにこにこしてるのに、私が斎藤さんに可愛いと言われてドキドキした、と言えば、途端に笑顔を消したり。

私がクラスの男子に可愛いと言われたと言えば、焦ったり。

期待して良いのか、良くないのか。
脈ありなのか、なしなのか。


本当に、振り回されてる。