四百年の誓い

 「優雅くんが東京に行ってからも、吉野先生はすごく心配して、かなり頻繁にメールしていたよね」


 圭介は置き去りにされてやけになっている美月姫を、救うためでもあったのだが……。


 「俺が無視しても無視しても、母さんからメールが転送されてきた。無視を続けるのは心苦しかったけど、嬉しかったよ。あそこまで心配してくれて」


 「先生もついにあきらめなかったね」


 「そう。母さんの件もあったけど、俺がこうして故郷に再び戻ってこられたのは、先生のおかげでもある」


 「ある意味、恩人?」


 「そうなんだ。なぜか先生のこと、他人とは思えないんだ」


 「他人とは、思えない?」


 「うん。本当の父親みたいに思えるくらいだった」


 「父親とはかわいそうじゃない? せめてお兄さんくらいにしておいたら」


 「先生と俺たちは、18歳違いだよね。若くして子供を産んでいたら親子でもありだけど、先生は見た目も若いし、兄貴って感じだよね」


 「そうだね。頼りになるお兄さん、かな」


 恋人にはなれなかった美月姫は、これからは圭介のことをそう位置付けて、交流を続けていきたいと願っていた。


 「それに……。先生と初めて会った時から、何となく親しみやすさを感じたんだよね。他の保身ばかりの教師たちとは全然違ったのもあるけど、それとは別に、ずっと昔からの顔見知りだったような」


 「へえ。もしかしたら前世でも、先生はお兄さんだったかもしれないね」


 「だね」


 何も知らない二人は、無邪気に笑い合った。