四百年の誓い

 「あまり無理はしないで」


 美月姫は優雅に告げた。


 周囲の思惑とは逆な行動を試みると、反発を招いてあちこちに影響を及ぼすのが明白だからだ。


 「美月姫は何も心配しなくていいんだ」


 優雅はそう言うけど。


 不安を感じずにはいられない。


 「絶対美月姫には迷惑をかけないようにするから」


 美月姫の思いを察したようで、なだめるように優雅は髪を撫でた。


 「大学卒業まで、二年半とちょっと。その間に問題を片付けて・・・。美月姫と結婚したい」


 「……」


 結婚。


 予想外の言葉に、美月姫は息を飲む。


 そして次の優雅の言葉にさらに衝撃を受ける。


 「卒業したら、北海道に戻りたい」


 「北海道に……!」


 北海道に戻る、それはつまり。


 「優雅くんは丸山幹事長の後継者として、いずれは」


 その未来を放棄することに繋がる。


 「俺には政治家は向いていないんだ。それより北海道で、美月姫とのんびり……」


 「そんなの許されないんじゃない!?」


 美月姫は背を向けた。