四百年の誓い

 「よかった。また音信不通になっちゃうところだった」


 美月姫のデータが無事登録できたのを確認してから、優雅は携帯を閉じた。


 「美月姫」


 携帯を片付けると、いきなり優雅は暗闇でも判るくらいに真剣なまなざしで、美月姫を見据えた。


 「何?」


 「俺と付き合ってください」


 「……え? どうしたの今更」


 「きちんと告白してなかったから。はっきりさせておこうと思って」


 「今になって?」


 「順番は逆になっちゃったけれど、けじめをつけてから付き合いたい」


 「優雅くん」


 「俺だけの女性(ひと)になってください」


 とうの昔に体の関係を持ち、さっきようやく初めてのキスをして、それからまた体を重ねて。


 既成事実を設けてしまってから、優雅は美月姫に交際を正式に申し込んできた。


 「優雅くんの迷惑にならないのなら、私は」


 もう優雅なしでは生きられない。


 それを思い知らされた美月姫は、断ることはできなかった。


 婚約者の存在や、何より丸山乱雪。


 問題は山積みではあるものの、そばにいたいという想いが優先した。


 「また……会いに来るから」


 「連絡待ってる」


 赤いテイルランプは曲がり角を曲がり、夜の闇に消えていった。


 美月姫は見えなくなるまで見送り続けた。