四百年の誓い

 ……。


 「ここでいい」


 近所の公園で、美月姫は車を停めさせた。


 家までここからあと、歩いて一分程度。


 親に見つかってもまずいため、自宅まで一分ほど歩くことにした。


 「分かった。気をつけて」


 美月姫の事情を察し、優雅も同意した。


 「あ、待って」


 車から降りて歩き出そうとする美月姫を、優雅は呼び止めた。


 「肝心なことを忘れていた」


 そう言って携帯を取り出した。


 「東京に行く際、以前の携帯を解約して、データを引き継がなかったんだ」


 函館時代の記憶を、空っぽにした携帯。


 唯一母親の電話番号とメアドを登録しただけの。


 「もう一度、美月姫の連絡先教えて」


 「昔と変わっていないのに」


 「データ、もう何もないから」


 「……」


 美月姫は運転席に座る優雅と、携帯電話のデータを交換した。