四百年の誓い

 ……。


 「……母さんが苦しんでいるのを子供の頃から見ていて、絶対に幹事長のようにはなるまいって、心から誓っていたのに」


 最後の抱擁の後、キスをして優雅は美月姫からそっと離れた。


 相変わらず父親とは呼ばず、丸山乱雪を「幹事長」と表現する。


 「でもいつの間にか、俺は同じ轍(わだち)を踏んでいるのかもしれない」


 同じ轍。


 それは地方で女性と関係を持ち、関係を続けること。


 結婚することはできないまま、肉体関係だけをズルズルと……?


 「どうしても優雅が忘れられないのなら、あなた愛人になりなさい」


 かつて紫に告げられた言葉を、美月姫は思い起こした。


 (そんなの絶対に嫌)


 だが、愛人になることを拒めば。


 美月姫はいずれ、優雅と別れなければならない。


 別れの日、それはそう遠いことではないのかもしれない。


 今この部屋を立ち去り、優雅が東京に戻ってしまえば。


 もしかしたらそれっきりかもしれないのだ。


 優雅は再び東京での生活に戻っていき、二度と美月姫の元には帰って来ないかもしれない。