四百年の誓い

 「朝まで一緒にいられない? 俺は明日の昼の便で羽田に戻るから、まだ時間はあるけど」


 「……親の手前、朝帰りはできない」


 「そっか。ご両親との関係に波風を立てるのは、今は避けたほうがいいかもね」


 優雅の誘いを拒否し、美月姫は散らかった衣服に手を伸ばした。


 「これからもこうやって会ってくれる?」


 服を手に取る寸前に、優雅に背中から抱きしめられた。


 「今後は母さんのこともあるし、たびたび帰省するから……。会ってほしい」


 懇願された。


 会うということはつまり、会うたびにこうして……。


 「連休が終われば、私は札幌に戻るし……。もうなかなか機会は」


 「俺が札幌まで行く」


 函館から札幌までは約250キロ。


 車でもJRでも、移動には数時間以上を要する。


 円山幹事長が新幹線を札幌まで伸ばそうと躍起になっているけれど、開通する頃には美月姫や優雅も中年世代になっているだろう。


 「どうしてそこまでして」


 北海道に来るだけでも大変なのに、そこからわざわざまた……。


 「もう美月姫なしでは生きられない」


 優雅は言い切った。