四百年の誓い

 「優雅くんは……」


 何か言い出そうとした美月姫の唇を、優雅は塞いだ。


 言葉も迷いも過去も、全て消し去ることを欲しているかのように。


 「……もう無理」


 唇を離した優雅が、耳元で囁きかけた。


 「何が無理なの?」


 「もう美月姫無しの日々には戻れない」


 再びそっと抱き寄せられた。


 「だったらどうして、今まで連絡の一つもくれなかったの?」


 「美月姫、」


 「卒業式の後、謝恩会で会おうって約束していたのに、すっぽかして東京行っちゃって」


 未だに昨日のことのように覚えている、あの夜の切なさとつらさ。


 ずっと胸の奥に押し殺していた本音を、一気に優雅にぶつけた。


 「もう過去のことは、何もかも捨てたんだと悟るしかなくて。寂しくて悲しくて。私は、」


 私は、そばにいてくれた先生に心を開いて、そして……。


 言い掛けて口を閉ざした。


 未遂には終わったが、あの時の美月姫は本気で圭介を想っていた。


 たとえ優雅に見捨てられた悲しみに由来するのだとしても、圭介への想いは本気だった。


 「私は……」


 先生とのことは、結局打ち明けられなかった。


 「悪いのは逃げ出した俺だから。現実に押しつぶされそうになって、たまらず何もかも置き去りにするしかできなくて」


 美月姫の言葉の続きを待たずに、優雅は美月姫を強く抱いた。