四百年の誓い

***


 今まで目を逸らしていた静香の優しさから、この時圭介は目を逸らすことができなかった。


 申し分のない女。


 愛することのできない罪悪感に、いつもとらわれていた。


 真姫への想いという殻に閉じこもり、大切に思うことから目を逸らしていただけかもしれない。


 見ようとしていなかっただけかも。


 「初芝、ありがとう」


 「別に感謝されるようなことは、していないけど」


 なかなか素直に感情を示さない静香。


 静香もまた、圭介に素直な気持ちを示すことができずにいた。


 正直にぶつかって拒絶されるくらいなら、このまま曖昧な関係を続けていくほうが幸せなのかもしれないと思い込むようになっていた。


 一緒にいられるのなら、それだけでよかった。


 たとえ結ばれることはなくても。


 「もう出会ってから二十年になるのか。早いな」


 「正確にはそれ以上よ。私たちも年を取るわけで」


 静香は苦笑した。


 「いや、まだまだ俺たち折り返し地点だ」


 「そうね。定年までもまだそれくらいあるのよね」


 「……これからも、よろしくな」


 「いやね、何を改まって」