四百年の誓い

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 だが冬雅は、この時都輝の優しさにはじめて触れたような気がした。


 高慢で、冷たささえ感じられる姫君。


 もしかしたら不器用なだけなのかもしれない。


 この上なき高貴な家に生まれ、大切に育てられ、他人を慈しむということを教えられてこなかった、不器用な姫君。


 今になって冬雅は、都輝の存在の大切さに気がついた。


 家同士の取り決めでの、政略結婚。


 都輝の気位の高さに反発を感じ、愛することができなかった。


 福山家当主の務めとして、子供を作るような行為はしてきたが、感情のない行為だった。


 いつくしむことから目を逸らしていただけかもしれない。


 見ようとしていなかっただけかも。


 「都輝、かたじけない」


 「別に感謝されるようなことはしておりませんが」


 なかなか素直に感情を示さない正室。


 だがそれも精一杯の愛情表現として、優しく見守っていこうとこの時冬雅は誓ったのだった。


 結婚から二十年。


 ようやく冬雅が、都輝子を本当の妻として感じられるようになった瞬間かもしれない。