四百年の誓い

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 「何も見えなくなるくらいに、泣けばいいのじゃない。涙が尽きた頃に思い出して。私が吉野くんのそばにいることを」


 「それは、」


 静香が想いを寄せているのは、いつの頃からか圭介も察知していた。


 だが応えることはできなかった。


 真姫を愛してしまったゆえ、真姫の死後は途絶えることない追慕ゆえ。


 「縁あって大学の同級生になってから、もう二十年。そしてこれからも、私は吉野くんのそばにいる定めでしょう?」


 「……」


 大学時代は、近寄りがたい優等生。


 そして今は、頼りがいのある同僚。


 思えば人生の半分は、静香と共に過ごしていた。


 そしてこれからも。


 私立高校ゆえ転勤がないため、何らかの事情があって退職しない限りは、定年までは圭介は静香のそばに居続けるはず。


 「忘れられなくても構わない。私が吉野くんのそばにいる事実は、このまま変わらないのだから」


 ただそう告げるだけだった。