四百年の誓い

***


 「何か用か?」


 冬雅は都輝に尋ねた。


 「……」


 都輝は何も答えない。


 「そなた一人で来たのか? 侍女は?」


 侍女は離れた場所で控えているようだ。


 「……お風邪を召します」


 ようやく都輝は口を開いた。


 「風邪だと?」


 冬雅は苦笑した。


 「たかがこれしき……。そなたこそ気にせず城に戻るがよい。私はまだしばらくここにおる」


 都輝を城に帰して、冬雅はもう少しここで感傷に浸っていようとした。


 「では私も、ご一緒させていただきます」


 いつもの都輝とは違い、冬雅のそばに留まろうとしていた。


 「何を言うか」


 冬雅は再度、自嘲的に吐き捨てた。


 「そなた以外の女をいつまでも想い、女々しく悲しみに浸っている男のそばにいたところで、面白くはあるまい?」


 「仕方ありません」


 都輝は答えた。


 「無理に忘れろとは申しません。第一、そんなにたやすく忘れられるほどの想いではなかったのでありましょう? 殿にとっても」


 「都輝」