四百年の誓い

***


 パキ……。


 地面に落ちていた小枝を踏む音で、背後に誰かが近づいていることを圭介は察した。


 花見客で賑わう、福山城公園。


 まさか不審者が圭介を狙っているとは考えられないが。


 (おやじ狩りとかじゃないだろうな。ま、いくら何でもこんな人通りの多い場所に、そんな物騒な奴らは来ないだろうけど)


 大して気にも留めていなかった。 


 「誰だ」


 圭介は一言尋ねた。


 「……」


 背後に人の気配を確かに感じるのに、何も答えが返ってこない。


 不審者か、亡霊か。


 ……亡霊でも構わなかった。


 それが真姫の亡霊であるならば。


 もう一度真姫に会えるのならば……。


 「何の用だ。誰なんだ」


 それでも名乗らない。


 やがてその人物は、圭介の横にまで近づいて来た。


 「……初芝?」


 圭介はそこにいるのが、大学時代の同級生である初芝静香なことに、ようやく気がついた。