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「まことに、見事な桜だ」
冬雅は誘われるかのように、庭園へと歩き出した。
母が京の都より輿入れした際に、記念にこの地に植えられた桜の木。
無事に根付き、見事な花を咲かせている。
(まさにこの場所にて、私は月光姫と出会ってしまった)
共に宴の喧騒を抜け出して、この桜の元へと逃れてきた際に出会った。
花のはかなさを嘆く冬雅に対し、姫は満開の一瞬の華やかさを愛でていた。
人により、受け取り方が異なる。
それをきっかけに、冬雅は姫を愛し始めた。
不当な手段で弟から奪い取っても構わないと思うほどに。
そして失った。
冬雅はこの春も、満開の桜を一人寂しく眺め続ける。
咲き誇る花を以前に増して、むなしく感じるようになっていた。
誰もいない。
(私を許し、受け入れてくれるのは……)
冬雅はむなしさを持て余していた。
「まことに、見事な桜だ」
冬雅は誘われるかのように、庭園へと歩き出した。
母が京の都より輿入れした際に、記念にこの地に植えられた桜の木。
無事に根付き、見事な花を咲かせている。
(まさにこの場所にて、私は月光姫と出会ってしまった)
共に宴の喧騒を抜け出して、この桜の元へと逃れてきた際に出会った。
花のはかなさを嘆く冬雅に対し、姫は満開の一瞬の華やかさを愛でていた。
人により、受け取り方が異なる。
それをきっかけに、冬雅は姫を愛し始めた。
不当な手段で弟から奪い取っても構わないと思うほどに。
そして失った。
冬雅はこの春も、満開の桜を一人寂しく眺め続ける。
咲き誇る花を以前に増して、むなしく感じるようになっていた。
誰もいない。
(私を許し、受け入れてくれるのは……)
冬雅はむなしさを持て余していた。



