四百年の誓い

***


 冬雅は救いを求めていた。


 姫が一瞬だけでもいい、姿を現して冬雅を許すと言ってくれさえすれば、冬雅は救われた。


 だが姫は、冬雅の夢にさえ姿を見せなかった。


 死してもなお姫は冬雅を拒絶していると悟り、彼はますます孤独の底へと落ちていった。


 周囲の者も、冬雅の世捨て人のような振る舞いに心を痛めていたものの、どうすることもできなかった。


 そんなある日、取締り目的で足を踏み入れたキリシタンの隠れ集会所。


 そこで目にした荘厳な光景と心に染み入る司祭の祈りの声に冬雅は心奪われ、やがて密かに入信した。


 時はキリシタン禁止令の時代。


 表沙汰になれば国外追放どころか領地没収、時には死罪すらあり得たにもかかわらず、冬雅は生涯信仰を貫いた。


 信仰が深まるにつれて冬雅は精神的な安定をも取り戻し、領民は再び平穏な暮らしを手にすることができた。


 やがて福山冬雅は、福山家代々の当主の中でも一、二を争う名君として、歴史にその名を残したのだった。