四百年の誓い

 「これからの美月姫とのことも、考えなくちゃ」


 優雅は美月姫を見つめながら語りかけた。


 「何を……?」


 優雅の気の重そうな表情に、美月姫はよくない予想をする。


 覚悟はしていた。


 この先のことは期待しないようにしようと。


 一度限りの甘い夢だと割り切ろうと。


 まず第一に、美月姫と優雅はそれぞれ、札幌と東京に隔てられている。


 日々を共にして愛を語るのは不可能。


 それに優雅は、与党幹事長・丸山乱雪の後継者と目される身。


 美月姫との交際は許されない。


 いずれ優雅は、丸山乱雪から引き継いだ地盤を盤石なものとするため、元華族の令嬢と政略結婚しなければならないのだから。


 未来は望んではいけないと、美月姫は心にブレーキをかけていた。


 付き合う、なんて無理。


 これは一夜限りの奇跡。


 中途半端に終わった初めての恋を、神様か誰かが哀れんで、一度限りの奇跡を与えてくれたんだ、と。


 まさに春の夜の夢。


 目覚めれば塵のごとく消えゆく。