四百年の誓い

 ……。


 「花びらが」


 その場でキスをしようと顔を上げた時、美月姫の目の前に桜の花びらが散って来た。


 美月姫はそっと体を離し、花びらを手で捕まえた。


 すると花びらが二つ、三つと続いて舞い散る。


 「今年も散り始め……?」


 長い冬を越えて、花が咲き始めるまではワクワクしているのに、満開になった途端散りはじめを思い不安に駆られる。


 毎年それを繰り返していた。


 「なんか寂しくなるね」


 優雅はつぶやきながら、散り行く花びらを眺めた。


 ようやく美月姫との未来を手に入れることができた今、今度は失ってしまうことに対する不安に気づき始めたのかもしれない。


 「どんなきれいな花でも、一年中咲いていたらそれが当然のことになって、目にしても何も感じなくなると思う。一年のほんの何日かだけ見事に咲き誇るから、毎年楽しみにできるの」


 花を見上げながらそう語った美月姫の横顔を見た優雅は、愛しさとそして懐かしさを感じた。


 高校三年生の時にはじめて出会った頃から気になる存在ではあったが、それと同時に胸に溢れる懐かしさを、優雅はずっと説明できずにいた。