四百年の誓い

 「私でいいの?」


 美月姫は再度問い返す。


 「美月姫がいい」


 優雅の抱きしめる腕の力が強まる。


 もう人目も気にならないほどに。


 「……」


 「美月姫は……不安?」


 美月姫の表情が一瞬曇ったのを、優雅は見逃さなかった。


 「周りの人の不幸とひきかえに、私たちだけ幸せになっていいの?」


 美月姫は優雅を想うあまり、一瞬ではあるものの幹事長の死を祈ったことがあった。


 祈りが現実になりかけた。


 それが罪悪感となって彼女を苦しめていた。


 (私……。一瞬とはいえ自分のエゴのために、優雅くんのお父さんである丸山幹事長の死を願った……)


 美月姫の心に、黒い影を落としていた。


 「幹事長は刺されて生死の境をさまよい、痛い思いをした。でも意識を取り戻した後に病室を見舞ったら、幹事長は晴れ晴れとした表情をしていて驚いた」


 優雅は予想外の発言をした。


 「幹事長は、維持でも守ろうとしていたものの虚しさとはかなさに気づいたんじゃないかな。それに気づいた時、自分を支配していた重荷や重圧からも解放されたんだと思う」