四百年の誓い

 優雅は函館滞在中、客間で寝起きしていた。


 息子は二度と帰ってこないとみなしていた紫は、優雅の部屋を荷物置き場にしてしまっていたのだ。


 そのため優雅は自分の部屋を失い、帰省中はこの客間である和室に布団を敷いて過ごしていた。


 美月姫は手を引かれ、和室に足を踏み入れる。


 しばらく見つめ合った後、ゆっくりと距離を詰め、抱き寄せられる。


 「ここに戻ってくるまで、長かった」


 美月姫に頬を寄せた優雅は、満ち足りた表情でそうつぶやいた。


 「忘れようとしていた自分が、今となれば馬鹿みたいで」


 その言葉の後、優雅は瞼を閉じ、再度美月姫を強く抱きしめた。


 「もう二度と、触れられることはないとあきらめていた」


 「私も……忘れようと努めていた」


 美月姫は一言口にして、優雅に身を委ねた。


 ふわふわと敷かれた布団の上。


 枕元の灯篭風のスタンドの灯りは、とっくに消されていた。


 窓から差し込んでくる、柔らかな月明かりのみが二人を照らしていた。