四百年の誓い

 ただ。


 通りすがりの人たちが、二人をじろじろ変な目で見ている。


 他のお客さんの行き来もあるこんな廊下で泣かれては、誤解を受ける。


 圭介がまるで美月姫を泣かせているようだ。


 誰か知り合いに見られる可能性もあるし、第一恥ずかしい。


 学校関係者に目撃されては……絶対に疑われる。


 「とりあえず、店の外に出よう」


 何とか美月姫を説き伏せて、会計を済ませ店を出た。


 「先生……!」


 店の一歩外に出て、冷たい空気に触れた瞬間。


 美月姫は圭介の胸に飛び込み、泣き始めた。


 「大村」


 立場を気にした圭介は戸惑ったが、突き放すことはできなかった。


 しばらくそのまま、美月姫の気持ちが落ち着くのを待ち続けた。


 だが……。


 冬の夜は寒い。


 雪が静かに降り続ける夜、徐々に寒さが身にしみてきた。


 (どこか、違う店へ)


 場を変えようと思ったのだけど、美月姫がこの状態ではどこにも連れては行けない。


 (困ったな)


 このままここに置き去りにもできない。


 家にも帰せない。


 「……俺の家に来る?」