四百年の誓い

 「先生……」


 美月姫はここを飛び出して東京に駆けつけることは、とどまった様子。


 「とりあえず帰ろう。タクシーで送るよ。家に帰って気持ちを落ち着けるのが先決だと思う」


 「……」


 伝票を手に廊下を進み、レジへと向かう圭介の腕を今度は美月姫が掴んだ。


 「どうした」


 「一人にしないでください……」


 「一人じゃないだろ。家に帰ればご両親がいるだろ」


 「両親に優雅くんの話はできません……」


 美月姫は圭介に背中にすがりついて泣き出した。


 (そうだ。清水との関係は両親に隠してるって話してたな……)


 圭介は先ほどの美月姫との会話を思い出した。


 (幹事長の隠し子と関係があるだなんて、両親に知られて心配させたくないから隠していると。それに名目上は幹事長にあてがわれた幹事長の甥とも、婚約関係にあることだし……)


 優雅との関係を両親に隠していることを圭介に打ち明けた時の美月姫は強がってはいたけれど、やはり寂しそうだった。


 優雅からの愛情は確かなものである一方、周囲に認めてもらえない、ゆえに隠し続けなければならないことに対する切なさ。