四百年の誓い

 「あなた、まだ優雅を諦めていなかったのね」


 紫が美月姫に告げた。


 「早く断ち切らないと、余計つらくなるだけだってアドバイスしたの、忘れたの?」


 「いえ……」


 優雅の母・紫の表情は、美月姫を責めているというよりもむしろ、同情しているようだった。


 「どうしても離れられないなら、出すぎた真似は決してしないで、ずっと日陰の立場を貫きなさい。ただしあなたのためにも、別の道をお勧めしたいところだけど」


 「……」


 「優雅より優しい男は、他にもたくさんいるはずよ。似た男だってほら、そこに」


 紫は京をちらっと見た。


 「とにかく優雅の、いえ丸山の邪魔をすることだけは許されないわ。あなたにはあなたに相応しい生き方があるはずよ」


 そう言い残して、紫は背を向けた。


 「美月姫、帰るぞ」


 京はまるで美月姫の本物の恋人のように、肩を掴んだ。


 「紫さま、ご心配なく。あとは私が引き受けます」


 そのまま京は、美月姫を車に押し込んだ。