四百年の誓い

 リネン室のドアが、音を立てて開いた。


 「おやおや。探す手間が省けたようで」


 幹事長は余裕たっぷりの口調だった。


 優雅に続いて美月姫が姿を現し、ゆっくりと階段を降りてきた。


 事実上の「投降」。


 「夏休みに、大した冒険をしでかしたものだ」


 依然として笑みを浮かべている幹事長。


 油断させておいていきなり優雅を殴るんじゃないかと、美月姫は危惧した。


 「もう夏休みは終わりだ。午後の便で東京に戻ろう。パスポートの更新もまだ済んでいなかったんじゃないのかな」


 今回の逃避行に関して、幹事長は不問のしたようだ。


 若気の至りというか、ちょっとした真夏の冒険として片付けて、なかったことにして間もなく優雅を海外に送り出そうという考えか。


 「さあ、お嬢さんもおうちに帰るんだ。ご両親が心配しているぞ」


 次に幹事長は、落ち着いた口調で美月姫に語りかけた。


 「今回の無断外泊は、私が強引に丸山家のホームパーティーに拉致したため、お嬢さんは断りきれず、帰るに帰られなくなったとご両親に説明しておいた。京、婚約者として帰りは送ってあげなさい」


 駆け落ち計画は、存在しなかったことにされていた。