四百年の誓い

 「どうしてこんなにたやすくあきらめてしまうの? せっかく自由が許された時代に生まれたのに……」


 「!」


 美月姫が不意に口にしたその言葉に、優雅は思わず両手を離した。


 まるで雷に打たれたような衝撃。


 遠い昔、誰かに同じことを言われたようなデジャヴ。


 (どこで。いったい誰に……)


 思い出そうとしても、思い出せない。


 記憶の奥が霧のような白い闇に覆われている。


 (誰に……)


 優雅は窓の外を見上げた。


 いつしか夜明け前の空は明るさを増し、深い青色に満ちている。


 もうすぐ夜明けだ。


 「……美月姫!」


 ぐったり横たわる美月姫を揺さぶった。


 息をしている。


 再び眠りに落ちてしまったようだ。


 「ごめん。美月姫」


 安易に死という手段を選ぼうとした自分を、優雅はひどく恥じた。


 目の前の困難にくじけて、こんなに愛しい人の命を絶ってしまおうとしただなんて。


 (せっかく長い時を経て、巡り会えたのに……)


 ずっと以前から探し続けていた運命の人は、美月姫に間違いないと確信している。


 いつからかは思い出せないが、きっとはるか昔から……。