四百年の誓い

 「誰だよトウゴって」


 美月姫の唇から漏れた、おそらく男のものと推測される名前。


 「もしかしてお前、優雅以外にも男がいるって話? 可愛い顔して裏ではとんでもないことしてんだな」


 京は軽蔑のこもった口調で告げた。


 「優雅に色仕掛けで接近して、玉の輿狙いだったとか?」


 しかし美月姫からの答えはない。


 ただ震え続け、視線はうつろなまま。


 「だったら俺にこんなことされても、嫌なわけないよな」


 「……」


 「優雅が来るまで、せいぜい俺を楽しませてくれよ」


 反応のない美月姫をもてあそぶかのように、耳元で囁きかけ。


 その手を胸のボタンに伸ばした時だった。


 「!?」


 急にリビングから火の手が上がった。


 「何だ?」


 ちょうどベッドの上から、リビング中央のテーブルが見える角度だった。


 テーブルの上に置かれた、美月姫がさっきろうそく代わりに用いていた蚊取り線香から、急に炎が立ち昇ったようだ。