四百年の誓い

 「何やってんだ。今さら急いでも手遅れだよ」


 ログハウスを出る前に、難なく京に捕まってしまった。


 「離してください。優雅くんをどうするつもりなんですか」


 待ち伏せしたタクシーに乗り込んで、そのままどこへ連れて行かれるのか。


 「安心しろ。今から東京に戻ろうとしても無理だ。今晩は函館の水上のところにでも預けて、明日一番の便で」


 「その前に、話をさせてください」


 「だめだ。会ったらまた余計なことを企み始めるだろう。また新たに幹事長を裏切ろうとするはずだ」


 「……」


 確かにそうかもしれない。


 優雅と会ってしまえば、また現実から逃げ出す方法を模索するかもしれない。


 「優雅くんは押し付けられたアメリカ留学、嫌がっていました……」


 京に対し、最後の抵抗を試みた。


 「仕方ないだろ。近場に放っておいたら、またお前が余計な影響を与えるのは明白なんだから」


 「だから私がたやすくは会えない場所へ……」


 「そうだ。お前はさっさと優雅をあきらめて、俺と結婚するんだ」


 満月を背に、京が美月姫に改めて命令する。


 「私、あなたを愛していませんし、これからもたぶん愛せません」


 「俺もだよ」


 京は再度、苦笑いを浮かべた。


 「だけど、愛していなくても子供は作れるんだよ。……試してみるか?」