四百年の誓い

 「雲の上……?」


 美月姫は口にしてみて、はっとした。


 雲の上……すなわち天国!?


 「まさか……消した……?」


 幹事長の意向に逆らう者は許さないという、京の無慈悲な使命感により、優雅は抹殺されたのだと美月姫は早合点した。


 「ねえ殺したの? 優雅くんを殺したの!?」


 思わず美月姫は京の手を振り解き、逆に掴みかかった。


 「ばかな。最大の持ち駒である幹事長の跡取り息子を、どうして俺が」


 京は苦笑しながら、美月姫の手を離した。


 「じゃ、生きてるの……?」


 「奴の乗った羽田発函館着の旅客機は、まだ津軽海峡上空を旋回中ってことだ」


 「え……。離陸からもう、三時間以上になるのに。どうしてそんなに時間がかかるんですか」


 悪天候で着陸を見合わせるとかならたまにあるが、今日は一日中晴れていたし、現に今も満月が輝いている。


 「もしかして……。幹事長の命令ですか?」


 そうは尋ねたものの、いくら権力者の命令であろうと航空会社が、危険が迫った状況とかでもないのに着陸を見合わせることがあるのか疑問だった。


 大きな遅延を強いられる、他の乗客からの苦情もあるだろうし。