四百年の誓い

 (私……!)


 いつもの習慣で、充電器の上に置いてある携帯を手に取ろうとしたが、そこには本体不在の充電器。


 携帯は電源をオフにして、金庫の中に入れてある。


 すぐに優雅に連絡を取って、この計画を考え直す相談をしなければという衝動に駆られた。


 愛のままに二人だけの世界で生きていきたい気持ちはあるけれど、それと引き替えに失うものが多すぎる。


 自分自身はまだいい。


 優雅も多才な能力を全て封印して、清水いや丸山優雅という名前を捨てて、偽名で一生暮らしていかなければならないのだ。


 幹事長とその一味の追跡から逃れるためには。


 おそらく日本の地の果てなどで、人目に付かないように息を潜めて。


 美月姫は優雅の人生を全て消し去ってしまうことに、耐えられなかった。


 「俺には美月姫さえいれば、他に何もいらない」


 電話でそう告げられた時は嬉しくて、体の奥から満たされたものだけど。


 それだけじゃ長い人生、続けていくのは困難な気がしてきた。