四百年の誓い

 「俺のことは、美月姫は気にしなくていい。俺が心配なのは、美月姫から今の毎日を奪ってしまうことだ」


 「……」


 優雅が何もかも捨て去る以上。


 美月姫も全てを犠牲にしなければならない。


 平凡な毎日も、将来の夢も、家族も……。


 「それでもなお俺についてきてほしいって願うのは、わがままかな?」


 「いや、」


 確かに不安が大きすぎる。


 本当に何もかも放棄することができるのか。


 そしてそれ以上に……この国において丸山乱雪から逃げ切ることが、本当に可能なのか。


 「で……どうすればいいの」


 「美月姫?」


 「優雅くんは、どこへどうやって逃げるつもりなの?」


 「よかった。一緒に来てくれるんだね」


 美月姫が決心を固めたのを悟り、優雅の声は安堵に満ちた。


 そうは答えたものの、美月姫の心配は尽きない。


 日常生活全てを捨て去ることに対する不安は、途方もなく大きい。


 だがそれに増して、優雅を諦めて生きることはできないという思いのほうが大きかった。


 胸の奥底から、この人の手を離してはいけないという叫びが聞こえてくるような気がした。