四百年の誓い

 「幹事長は、京さんを後継者にとは考えていない。俺が実子だってこともあるし、それに……。何か事情があるらしい」


 幹事長なりに考えるところがあっての決定だとは思うものの、美月姫には謎のままだった。


 「それよりこの期に及んでは、もう俺だけの問題じゃないことがはっきりとした。このままじっとしたままでは、美月姫もまた取り返しのつかないことになる」


 いつもより早口で、そして声を小さくして優雅は述べた。


 「このままだったら……徐々に優雅くんと引き離されて、私は……」


 京との結婚が、現実のものとなる。


 「俺の身勝手に美月姫を巻き込むのは、ちょっと躊躇していたんだけど。俺がこれから説明するのは、美月姫を魔の手から救うためでもある」


 「それは……最初に話した、逃げるってこと?」


 「うん。一緒に逃げよう。このままだったら俺たちは引き裂かれる。俺だけだと思っていたら、美月姫までそんな」


 「優雅くんにも……何かあったの?」


 優雅にも婚約者が存在する。


 そちらの話も一気に進められたのかと美月姫は危惧した。


 だが優雅からの答えは、予想外のものだった。


 「幹事長がいきなり、秋から留学しろって言うんだ。アメリカに。あり得ないだろ」