四百年の誓い

***


 美月姫は生まれてはじめてのベンツに揺られていた。


 街の中心部に向かっているようだ。


 「報告によると、君らはなかなかピュアな交際を続けているらしいね」


 助手席の幹事長は、振り向いて美月姫に語りかけた。


 「私の若い頃は、婚前交渉などと言って変な目で見られることもあったが、今の時代そんなこと気にしなくてもいいものを」


 「……」


 京との交流が全て丸山幹事長に筒抜けであることを悟り、美月姫は身を硬くした。


 「幹事長。そういうお話しはお控えください。こっちがそのつもりになっても、恥ずかしくて何もできなくなります」


 京は運転しながら、前方を見つめたまま答えた。


 「そうかそうか。あまり無粋な発言は控えるとしよう」


 幹事長は笑って締めくくった。


 「ていうか、自分としてはこれ以上のことは、ご勘弁願いたいんですけどね」


 「京はこの話、気乗りしないのかね」


 「優雅と女を共有したくはありませんので」