「……」
その日の夕方、美月姫は行くあてもなく近所の公園脇の並木道を歩いていた。
圭介に会いに行こうかとも考えた。
苦しい胸の内を相談したいと。
だが、圭介が学校に滞在しているかも分からないし。
かつて「抱いてください」とまで懇願した相手に、今の恋の相談をするのも少し恥じらいを覚えるし。
迷っているうちに母校に出向くタイミングを逸し、ただ時間の過ぎ行くままに夏の夕暮れの風に吹かれていた。
と、その時。
「お嬢さん。これからお茶でもいかがですか」
背後から急に声を掛けられた。
ナンパにしては少々丁寧な口調で。
「!」
振り向くとそこには、車が。
見覚えのある最高級の黒いベンツ。
車のナンバーも一緒。
助手席のスモーク張りの窓がゆっくりと開き、そこに顔を見せたのは。
(丸山幹事長だ)
美月姫は息を飲んだ。
今まで優雅のことを思い出しながら甘い夢に浸っていたのに、それらが全て吹き飛んでしまいそう。
その日の夕方、美月姫は行くあてもなく近所の公園脇の並木道を歩いていた。
圭介に会いに行こうかとも考えた。
苦しい胸の内を相談したいと。
だが、圭介が学校に滞在しているかも分からないし。
かつて「抱いてください」とまで懇願した相手に、今の恋の相談をするのも少し恥じらいを覚えるし。
迷っているうちに母校に出向くタイミングを逸し、ただ時間の過ぎ行くままに夏の夕暮れの風に吹かれていた。
と、その時。
「お嬢さん。これからお茶でもいかがですか」
背後から急に声を掛けられた。
ナンパにしては少々丁寧な口調で。
「!」
振り向くとそこには、車が。
見覚えのある最高級の黒いベンツ。
車のナンバーも一緒。
助手席のスモーク張りの窓がゆっくりと開き、そこに顔を見せたのは。
(丸山幹事長だ)
美月姫は息を飲んだ。
今まで優雅のことを思い出しながら甘い夢に浸っていたのに、それらが全て吹き飛んでしまいそう。



