四百年の誓い

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 やがて夏休みが始まり、美月姫は函館の実家へと帰省した。


 ほぼひと月ぶりに目にした実家は、外壁の塗装工事の最中だった。


 「真夏に工事のためにシートで覆われるのは、暑苦しいかとも思ったんだけどね」


 そう説明する母は、いつの間にかパートタイムの仕事を辞めて、専業主婦になっていた。


 今日もこれから、新たに始めたカルチャースクールに出かけるという。


 そしてガレージに停まる車は、新車に変わっていた。


 父親の給料が、かなりアップしたらしい。


 「なんか娘を売ったみたいで気が引けるって、お父さんも言ってるんだけどね……」


 やはり丸山幹事長の影響だ。


 美月姫と京が交際を始めてから、実家には函館の後援会代表を務める水上が何度か顔を出し、半ば強引に外壁工事や新車購入の手続きを進めていったようだ。


 以前は幹事長の強引な政策に、反対の姿勢をとっていた父親も、もはや逆らえない状況に追い込まれている。


 美月姫が人質に取られたも同然だから。


 しかも丸山の甥である京を、両親共々気に入ってしまい、美月姫との交際を推進している。