四百年の誓い

 「今日は、ありがとうございました」


 ゴージャスなディナーもご馳走になった上に、寮の前まで送ってもらったこともあり、美月姫は一応京に礼をする。


 「じゃあな。おやすみ。婚約者様」


 皮肉っぽい笑みを浮かべた後、ウィンドウは閉まり、車を走らせようとした直後、


 「あの」


 「ん? 寂しくなったか」


 呼び止めた美月姫に気がついて、京は窓を再び開けた。


 「……無理しないでください」


 「俺は無理なんかした覚えはないが? まあ幹事長の望みが達せられるその日までは、少々の無理は厭わないけどな」


 まさに幹事長のためならば、罪をかぶって切腹しそうな勢いだ。


 「もっとご自分の趣味とかも、お持ちになったほうが」


 「趣味? 俺の趣味は、幹事長の助けとなることかもしれないな」


 一種の宗教のように幹事長を崇拝している京との相互理解は、これ以上深まりようもなく。


 複雑な思いのまま、美月姫は去ってゆく車を見送るだけだった。