四百年の誓い

 「こんなこと、って?」


 「忙しいのに何度も北海道まで訪れて、わざわざ私にまで会いに来て」


 「元々北海道は幹事長の地盤だし、まめに顔を出しておく必要がある。それに婚約者の様子も見ておくようにと、幹事長からの意向も」


 「その幹事長の命令で、好きでもない相手との時間を過ごすんですか」


 「それが幹事長のご意向なんだから、仕方ないだろう」


 「つまり京さんは、幹事長に命令されて嫌々私に会いに来ているんですよね。お金も時間もかけて」


 「実際に用事もあるんだから、無理矢理時間を作ってるわけじゃない。しかも経費で落ちているんだから、何もお前が心配するようなことでは」


 「むなしくならないんですか」


 「むなしい? 俺が? どうして?」


 「幹事長に命じられるまま、このまま私と結婚するつもりなんですか」


 「結婚とは、人生における戦略上最も重要なカードの一つだろ。惚れた腫れたとか愚かな選択で浪費するほど、無益なことはない」


 信号はいつしか青に変わり、京はアクセルを強く押した。


 そして車内では延々と、平行線な会話が続けられていた。