四百年の誓い

 「今のご時世、就職も大変だろう。それを何とかするのが我々政治家の務めであるんだがね。美月姫さんに関しては、京のこともあるし、特別に相談に乗ろうと考えている」


 「か、幹事長それは」


 さすがに父親も戸惑う。


 「美月姫さんは美人だし勉学優秀とも聞く。だが少々自己PR力に欠けている面があるようだ。このままだと就職活動で損をしかねない。優秀な人材を埋もれさせておくのは、社会全体の損失だと思わないかね、会長さん?」


 急に父親の会社の会長に、丸山は話題を振った。


 「そりゃあ、大村くんのところのお嬢さんで、しかも幹事長の推薦もあるならば、優先的に話を進めさせていただきますが。ですがうちの会社だったらお嬢さんのような人材には、いささかもったいなさ過ぎやしませんかね」


 丸山と会長は、勝手に美月姫の就職斡旋話を進めている。


 卒業までまだ二年以上あるにもかかわらず。


 しかし現在の不景気なご時世、今のうちから就職を心配するのは決して早すぎることではない。


 (おとなしくしていれば、幹事長のコネでいいところに就職させてもらえるのだろうか)


 いずれ優雅と引き裂かれ、この京と結婚させられる運命を美月姫はひしひしと感じていた。


 (ならばせめて、この京さんが優雅くんに似た、誠実で優しい人であれば)


 そんな望みにすがったりもする。


 丸山は優雅のことに関するような、もしくは美月姫を窮地に追い込むような嫌がらせ的問答は皆無で。


 ひたすら美月姫と京の仲を深めようという意図が感じられた。