四百年の誓い

 「そうかそうか。親御さんもそのような心配を」


 丸山は美月姫に対し、弱みを握ったことを確信してにやっと笑った。


 「だったらなおさら、親御さんを安心させてあげたいところだね」


 「・・・」


 美月姫は徐々に、丸山に追い込まれていく。


 「この京は学歴も職歴も人柄も、私が太鼓判を押して十分だ。お嬢さんには申し分のない存在だよ」


 「おじさん、褒め過ぎです。美月姫さんに過度に期待されたらどうするんですか」


 京は相変わらずのはにかんだ表情で、丸山に告げる。


 「いやいや、お前は私の自慢の甥だから。そして亡き妹の分も、お前には幸せになってもらわなければならないんだ」


 「おじさんてば」


 「早く奥尻(おくしり)に眠る妹の墓前に、いい報告をしに出向きたいものだ」


 「奥尻?」


 北海道南部の海の向こうに位置する島の名前を丸山が口にしたのに対し、美月姫はちょっと気になった。


 「そう。お嬢さんはもう生まれていたかな。生まれていたとしても覚えてはいないと思うけど。昔奥尻島で発生した大災害で、京は両親を亡くしたんだ」