四百年の誓い

 (何かサプライズでもあるのだろうか)


 不審に思うところは多々あったし、優雅に言えない後ろめたさもあり、美月姫はグレーな気持ちでこの席に臨んでいた。


 (相手の人ってどんな人かな。どうせ偉い人のどら息子なんだろうけど)


 全く期待などせず、当たり障りのない受け答えでこの場を乗り切ろうとしか思っていない美月姫だった。


 会場は函館の市街地のちょっと外れにある、高級料亭。


 平屋建ての重厚な造りで、建物の奥には和風庭園が広がっていた。


 街の喧騒からは完全に隔絶された、別世界のような場所。


 庭園を見渡せる一室に、こちら側は美月姫を両親が挟む形で。


 向かい側にはまだ初老の男性一人しか来ていなかった。


 「会長、この度は色々と」


 父親が深々とお辞儀をした。


 その初老の男性は、父親の会社の会長らしい。


 会社のトップには美月姫も直接会ったことはないので、面識はなかった。