「幹事長、美月姫をちょっと脅かせば泣き出して逃げ出すって甘く見ていたのが、思わぬ反撃に遭ったって驚いていたよ。本音は楽しんでいたみたいだな」


 「笑い事じゃないんだけど。こっちは必死で我慢していたんだから。なめられたくないし」


 「……美月姫って、強いね」


 優雅が微笑みながら語りかける。


 「私は、強くなんかない」


 美月姫は振り返った。


 子供の頃から……確かに強くなりたいと願っていた。


 男の子に負けたくないと、勉強もスポーツも頑張った。


 頑張りの度が過ぎて、「可愛げがない」とまで言われたことがあった。


 頑張れば頑張るほど、尊敬されたり憧れの対象となることもあったが、逆に近寄りがたい存在に映ることも。


 男子とは対抗すべき存在にすぎず、男子を好きになったり甘えたりなどということが信じられなかった。


 恋だの愛だのと騒ぐ同級生の女子は理解不能だったのみならず、軽蔑さえしていた。


 ……はずなのに。