四百年の誓い

 優雅には似ていない。


 間近に丸山乱雪を見据えた美月姫は、ふとそんなことを思った。


 優雅は母親の紫によく似ていると。


 だが今は、そんなことを考えている場合じゃない。


 目の前に立っているのは、与党幹事長・丸山乱雪その人。


 総理大臣以上の権力を有するといわれる、稀代の政治家。


 そんな人物が今、美月姫の前に立っている。


 何のためにこんな所まで?


 言うまでもなく、美月姫と優雅の交際が原因だろう。


 別れさせるために?


 (だけどそれだけのために、一国の権力者がわざわざ私に会いに来るの?)


 車の中には運転手。


 今は丸山の背後に立っているが、助手席に座っていたボブサップ似の黒人。


 おそらく彼はボディガードだろう。


 そして後部座席、丸山の隣のシートには、秘書と思われる眼鏡をかけた目つきの鋭い若い男もいた。


 その若い男は車から降りてこちらへ向かってきて、ボブサップを追い越し丸山の隣に立った。


 (どうしよう……)


 美月姫は逃げ出したいほど怖かったが、優雅のことを思い踏みとどまっていた。