もう、頭が痛い。
誰が、どうして、私なんかを狙うのか。
怖いし苦しいし、さすがに手が震えてきそう。
だって部屋に入ったら、私はひとりきりになる。


私が黙り込んでいるので、真山がさらに声をかけてきた。


「君が家に入った後、1時間くらい周辺を見回りするよ」

「い、いいんですか?」

「うん。追加料金が発生するけど」

「…………………………それでもいいです。お願いします」


また、胸がチクン。
彼が事務的な発言をするたびにチクチクする。
だから、私も事務的にヤツに言ってやった。


「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いします」


最後におまけでペコリと頭も下げた。
真山はそれを何も言わずに見ているだけだった。










バタン、と玄関のドアを閉めて、鍵を掛ける。
ドアの向こうで、真山と思しき足音が階段を降りていくのが聞こえた。


私はそれを聞きながら、目を閉じた。