ボディーガードにモノ申す!



話している最中、突然真山がくるりと体の向きを変えて後ろをうかがった。
目だけをキョロキョロ動かして、背後を観察している。警戒しているようなその目に、思わず私まで後ろを振り返った。


「な、何かありました?」

「………………いえ、何も」


首を振って再び歩き出すので、私もそれに倣った。


歩道と車道がきちんと分けられている歩きやすい道。
コンビニや予備校、それからファーストフード店なんかも並んでいて、そこまで暗い夜道という感じではない。
襲われたあのような細い路地を避ければ、こんなにも車も人もよく通る明るい道なのだ。


一連の真山の動作が気になった私は、その後も何度か後ろを振り返って怪しい人物がいたりしないか確認してしまった。


「誰かがつけてきてる、とか?」

「気のせいかもしれませんし、今の段階ではなんとも言えません。前を向いて歩いていただけませんか?」

「は、はい……」


涼しい顔で真山は歩いている。
先ほどの警戒心たっぷりの表情はどこにもなかった。
ちょっと拍子抜けしながらも、私は振り返るのをやめて歩いた。