お店の前まで送ってもらう形になった私は、これといった優しい言葉をかけてくるわけでもない真山に尋ねた。
「あのさ、なんか言うことないわけ?」
「何を?」
「何をって……、色々」
私を襲っためぼしい奴のこともそうだけど、キスしたこととか、色々諸々。
でも言葉にするのはちょっと嫌だったので濁した。
真山はモゴモゴしゃべる私をしばらく眺めたあと、「とにかく」と視線を周囲に向けながら続けた。
「今のまま粛々と生活を続けろ。夜に1人で出歩くなよ」
「い、言われなくてもやってます!部屋の掃除だってねぇ」
「じゃあな」
言いたいことを言い終わらないうちに、あっさりと真山は遮って素早くいなくなってしまった。
「ちょっと!待ちなさいよ!」
と言った頃には、ヤツの姿などどこにも無かった。
あの汚部屋を、一生懸命綺麗にしたことを伝えたかっただけなのに。
それもさせてくれないわけ?
あんな整理整頓の本までよこしておいて。
イラッとしつつ、お店へと戻った。



