ボディーガードにモノ申す!



普段からあまり読書はしないので、本屋に行くこともほぼ無い。
この本屋に足を運ぶのもかなり久しぶりのことだった。


私と真山は自動ドアを通り抜けて、店内へ入り込んだ。


パッと明るい照明がお店を照らしており、注目書籍や発売したばかりの漫画本や雑誌などがズラリと目立つところに並んでいる。
カテゴリーごとに分けられた大きな本棚が、お客様にも分かりやすいように表示されていた。


お店にはお客さんの姿がけっこうあって、みんな立ち読みしたり、目的の本を探すためにうろうろしているらしかった。


「パッと見だと、いない感じがするけど……」

「ちゃんとよく探せ」


丸いフレームのメガネをかけた店員を探すものの、なかなか見つからない。
真山は諦めることなく私を小突いてくる。


4つほどあるレジカウンターにも彼の姿は無く、本の整理をしているスタッフの様子をチラリと見てみるものの杉田さんではない。


やっぱりもう帰ったんじゃないだろうか。
真山に「また今度にしよう」と伝えるために振り返ったら、見覚えのある男性が黒いエプロンをして台車を押しているのを見つけた。
杉田さんだった。


大量の雑誌を台車で運んでいて、雑誌のコーナーで立ち止まると商品の入れ替えを始めた。
途中そばまで来た女性客に気づくと、邪魔になると思ったのか申し訳なさそうに慌てて身を引いたりして。


彼の性格が表れているような仕草だった。