教室についてから、しばらくすると、チャイムがなり、担任が入ってきた。


入ってきた担任は夏休み明けよりも明らかに黒くなっていて、他のクラスメイトのやつも、日焼けしたやつらばかりだ。


俺が教室に入っても、偏見の目はもうなくなっていた。



俺がここにいるのが当たり前のような空気に、すごく変な気持ちがした。


それに、今日は、岡本がいない。

1番前の席を見つめる。

「はーい、おはようございます!夏休み、楽しかったですかー?」
小学生の先生のような質問をしてから、真剣な顔をして、担任が話し出す。

「実はな…岡本 幸が、昨日から入院することになっていてな…」

みんな少しざわつく。


入院?!

聞いてねーぞ。


そりゃ、2週間前くらいから話していないから当たり前なんだけど…


そんなに仲良くなかったやつらは、どうでもいいみたいな顔してやがる。



「なんで入院してるんですか?」
相沢が担任に聞く。


「それが、先生も昨日親御さんから連絡があって、詳しいことは聞いてないんだ」


なんだよ。
風邪こじらせて肺炎とか階段から転んで骨折か?


それとも…事故?

なんだよ。

なんなんだよ。


ガタッ



俺は席を立ち教室を出る。


ぼーっとしてられるか。


「おい、黒田?黒田?」

担任の声がする。

担任が廊下まで追いかけてきた。

「あ、あいつの入院してる病院って?」
そう聞く俺。

「え、あ、○○総合病院だが…」

「どーも」

「おい、黒田」





「副学級委員、早退で」



俺はそう言って、学校を後にした。